天湾原子力発電所

天湾原子力発電所は、稼働中および建設中を合わせた総設備容量において世界最大の原子力発電所であり、中国とロシアの原子力協力における画期的なプロジェクトでもあります。

江蘇省連雲港市に位置する天湾原子力発電所は、稼働中および建設中を合わせた総設備容量において世界最大の原子力発電所であり、中露原子力協力における画期的なプロジェクトでもあります。同発電所は、800万キロワット級の加圧水型原子炉を建設する計画で、1号機から6号機はすでに商業運転を開始しています。また、7号機と8号機は建設中で、それぞれ2026年と2027年の稼働開始が予定されています。完成すれば、天湾原子力発電所の総設備容量は900万キロワットを超え、年間最大700億キロワット時の発電量を実現し、華東地域に安定したクリーンエネルギーを提供します。
天湾原子力発電所は、発電にとどまらず、原子力エネルギーの総合利用という新たなモデルを切り拓いてきました。2024年には、中国初の産業用原子力蒸気供給プロジェクト「鶴奇1号」が天湾で完成し、稼働を開始しました。このプロジェクトは、23.36キロメートルのパイプラインを通じて、年間480万トンの産業用蒸気を連雲港石油化学産業基地に供給し、従来の石炭消費を代替することで、年間70万トン以上の二酸化炭素排出量を削減します。石油化学産業にグリーンで低炭素なエネルギーソリューションを提供します。
さらに、天湾原子力発電所は地域のエネルギー安全保障において極めて重要な役割を果たしています。同発電所の電力は、500キロボルトの送電線8本を通じて長江デルタ地域に送電され、地域経済発展を力強く支えています。同発電所は運用上の安全性を重視しており、スマート検査ステーション、ドローン、AIを活用した「イーグルアイ」監視システムなどの技術を導入し、送電線の24時間365日監視を実現することで、送電の安定性と安全性を確保しています。
天湾原子力発電所の建設と稼働は、中国の原子力技術の進歩を牽引しただけでなく、世界の原子力利用の模範となりました。今後、同発電所は原子力水素製造や潮力発電といったグリーンエネルギープロジェクトの探究を継続し、中国の「カーボンピーキング」と「カーボンニュートラル」という「デュアルカーボン」目標の達成に貢献していきます。